明石公園第一野球場

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2000年3月13日。東京駅から「青春18きっぷ」を使い、「ムーンライトながら」に乗る。そして名古屋、米原と乗り継いで明石に午前10時20分に到着した。

明石駅前ではこの日のオープン戦・阪神−ダイエーを主催するデイリースポーツの関係者が、拡声器を使って盛んに試合の宣伝をしていた。

駅前のコンビニ「Heart-In」で昼食を買い、さっそく県立明石公園に赴く。

明石公園は1618年に築城された明石城(旧名鶴の城)の城跡を利用した都市公園で、明石駅前にある。

園内には野球場、陸上競技場、補助競技場、球技場兼自転車競技場、テニスコートなどの運動施設の他に、県立図書館、市立図書館なども設置されている。また桜の名所としても有名らしい。

そして公園の入口には大洋漁業創業者の中部幾次郎翁の銅像がある。中部翁は1866(慶応2)年に明石に生まれ、地方の一個人商店だった「林兼商店」を日本有数の生産会社に育て上げ、その後明石中学(現県立明石高校)の建設にあたり多額の寄付をするなど明石市の発展に尽くしたそうである。

大洋漁業というと「下関」というイメージがあったが、実は明石にも縁が深かったということを、この像を見て始めて知った。しかし下関で横浜ベイスターズが試合をすることはあるが、明石でのプロ野球というと阪神戦ばかりで、ベイスターズの主催試合が行われたという記憶は無い(ビジターでなら1998、99年にオープン戦が行われたことはあるが)。

さて、駅からは歩いて7〜8分で球場に到着。場外にはたこ焼、お好み焼、焼きそばなどの多数の屋台が出ていた。

本日の入場料は、内野3000円(小人1500円)・外野1000円。窓口で券を買おうとしたら、知らないおじさんが寄って来て余っている券をタダでくれた。これで入場券代が浮いた。ラッキーである。

明石公園第一野球場は開設1932年3月31日。両翼100m、中堅122mで照明設備は無し。収容人員は20000人。スコアボードは磁気反転式で、バックスクリーンと一体となっている。

このスコアボードは出来てからまだそう日数は経ってないらしく、プロ野球ではこの日が初お披露目だったようだ。ちなみに時計がデジタル表示なのが珍しい。客席は内野席は長椅子で、ネット裏の前列のみが背もたれ付き。外野は芝生席である。

球場からは、三塁側スタンドの後方に国の重要文化財に指定されている「坤櫓(ひつじやぐら)」、「巽櫓(たつみやぐら)」の2つの隅櫓が見える。これらは震災による修復工事が終わり、つい2日前にお披露目されたばかりだそうだ。

そしてレフトスタンドの後には、東経135度の子午線上に建てられた「明石市立天文科学館」の時計台が、さらに左中間スタンドの遥か後方には、1998年に完成した「世界最長の吊り橋」明石海峡大橋も望める。

そしてこの球場は「軟式の甲子園」とも呼ばれ、1981年から全国高等学校軟式野球選手権大会のメイン球場として使われている。そのため公園内には軟式高校野球優勝校による植樹も行われているらしい。

場内には売店が1ヶ所あり、明石名物のタコを使った「たこおこわ」(500円)を売っていた。そこで筆者は、コンビニで昼食を買っていたにもかかわらず思わず買ってしまった(名物に弱いのだ)。

他には缶ビール(300円)、缶ジュース(120円)、ペットボトル(150円)、パン・おにぎり(110円)、幕の内弁当(600円)、寿司弁当(500円)などを売っていた。

さてそろそろ試合開始が近づいた。試合前には両軍の代表選手(阪神・北川、ダイエー・小久保)と、地元明石出身のダイエー・永井に花束が贈呈された。永井は本日の先発投手でもある。一方阪神の先発は新外国人ハンセル。

少年野球選手による始球式のあと、13時1分にプレイボール。1回裏阪神は、1番坪井、2番DH和田の連続長打で早々と先取点を挙げた。さらに3番桧山、4番広澤もヒットで続きこの回2点を奪った。

そして4回裏にも矢野のタイムリー二塁打と田中の犠牲フライ、5回裏には星野修の2点タイムリーヒットで合計6点。永井は地元で錦を飾ることが出来ずにノックアウトとなった。一方ダイエーはハンセルに5イニングを2安打無得点に抑えられた。

この日は平日のデーゲームながら、スタンドは9割くらい埋まっているように見えた。それでも公式観客数は7000人であった。またレフトスタンド後方の児童公園のすべり台からもタダ見客が50人くらい覗いていた。

6回からは阪神はルーキー吉野、ダイエーは新外国人ラジオが登板。その後阪神は与田−山崎、ダイエーは吉田と繋ぎ共に無失点。結局6−0でそのまま阪神が勝利を収めた。試合時間は2時間29分。ダイエーはわずか3安打だった。

試合終了後には甲子園球場と同様に、場内には「六甲おろし」が流れ、グラウンドではマスコットのトラッキーがバック転を決めていた。

試合が早く終わったので、このあと少し明石公園内を散策する。公園正面入口近くには、侍の姿をしたロボットが1時間ごとに太鼓を叩く「とき打ち太鼓」というのがあった。これは、江戸時代に明石では時を告げる太鼓が打ち鳴らされたことに由来して、1989年に市制70周年を記念して造られたものだそうである。

そして第二野球場へも行ってみる。第一野球場から意外と遠く、歩いて10分以上かかった。

第二野球場は中堅97m、左翼83m、右翼73mと左右非対称で、バックスクリーンやスコアボードは無い。客席は一塁側・三塁側に石段状のものがわずかにあるだけであった。第一野球場とは設備が雲泥の差である。

ちなみに公園内のスケジュール表を見たことろ、この球場では3月19日から「兵庫県知事杯野球大会」が行われるらしい。

公園を出たあと、「明石市立天文科学館」にも行ってみたが、この日は月曜日のためあいにく休館日だった。

明石駅に戻って「魚の棚」(地元では「うぉんたな」と読むらしい)という魚介類中心の商店街に行く。そして「三ツ星蒲鉾」で「たこ天」(200円)を買って、歩きながら食う。ちなみに「たこ天」とは棒状のさつま揚げの中にタコの切り身の入ったものである。

そして「松竹」という店に入り玉子焼(550円)を食う。「玉子焼」とはいわゆる「明石焼」のことで、お吸い物のようなツユにたこ焼きをつけて食べるものである。やっぱり明石に来たらこれを食わねば。

明石からJR新快速に乗り大阪へ。阪神百貨店の「タイガースコーナー」を覗いてから、関西での常宿としている「カプセルイン大阪」へ泊まる。

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