安芸市営球場

MAP

高知市野球場」→「春野球場」→「高知市東部野球場」からの続き

1999年10月20日、高知黒潮リーグツアー4日目。午前6時半に起きる。前日午後8時すぎに寝たわりには、あまり早く眼が覚めなかった。朝食は前日と同様「牛丼専科」へ。今度は「朝定食(焼鮭、生卵、味海苔、味噌汁、ごはん)」480円を食う。

今日行く予定の安芸は結構遠い。高知市中心部からバスで1時間以上かかる。本来なら安芸行のバスに乗って行くのが一番良いのだが、土佐電鉄に乗ってみたかったので、はりまや橋から8時7分発の後免線直通電車に乗る。

ちなみに後免行き電車の行先表示板には、ひらがなで「ごめん」と書かれている。まるで電車が謝っているみたいで、他所者から見るととても滑稽である。

そして8時46分終点・後免町に到着。車内は途中までは結構込んでいたが、終点まで乗り通したのは筆者1人であった。なお、後免町駅前には高知出身の漫画家・はらたいらの記念館があった。

1時間ほど付近を散策してから、9時59分発の土佐電鉄バス・安芸行に乗車。車窓右に土佐湾を眺めながら、10時45分安芸に到着。道路脇には「ようこそタイガータウンあきへ」という看板が建っていた。そして、バス停からは「安芸ドーム」(室内練習場)がすぐ近くに見えた。

ちなみに球場のある場所は、安芸市の中心地よりもかなり西側のはずれである。しかしながら球場近くのバス停は堂々と「安芸」と名乗っている。これは何故なのかというと、元々この場所は1969年に廃止された土佐電鉄安芸線の「安芸駅」の跡地だったからである(という旨が書かれた記念碑がバス停前の広場にあった)。

鉄道が走っていた時代には、球場へのアクセスはもう少し便利であったのであろう(鉄道廃止時にはすでに阪神タイガースの安芸キャンプは行なわれていたはず?)。

しかし、近い将来この地に鉄道が復活する。第3セクターの土佐くろしお鉄道阿佐線が開通する予定で、球場のそばにも駅が出来るようだ。

鉄道が通る場所には、すでに路盤が出来上がっていた。しかし当初1998年度開通の予定だったのだが工事はかなり遅れていて、今のところ開通は2002年6月になるらしい。

なお駅名は現在仮称として「球場前」となっているが、それでは味気ないので「タイガータウン」や「猛虎」という駅名が候補として挙がっているとのこと。

バスを降りると、とりあえず近くの「ローソン」で飲み物を買う。店内には「ノムさん人形」が置かれていた。さずが「タイガータウン」だ。そして球場に向かう坂道を登る。その坂道の途中にはサブグラウンドがあり、ダイエーの選手達が練習をしていた。その他には、テニスコート、ブルペン、室内練習場(安芸ドームとは別)などの施設があった。

坂を登りきったところに安芸市営球場はあった。バス停からだと徒歩約6分ほど。球場は斜面を掘り下げて作られていて、入口はレフト側とライト側の2個所のみであった。これはちょうど西武ドームと同じ造りである。ちなみにライト側の入口の方が出入りには便利だが、レフト側の方がメインの入口のようで、ホームベース型をした球場の看板と「陸上自衛隊敷地造成1964年」という碑があった。

さて中へ入ろう。黒潮リーグは入場無料である。レフト側から入り、さらに坂を登り三塁側のスタンドへ。三塁側スタンドの上にはブルペンのような場所(おもにティーバッティングに使うらしい)があり、その前には「関係者食堂」があった。食堂では先発予定の部坂がひとりで弁当を食べていた。

さて私も昼食を食べようと思い、売店を探したがどこにも無い。唯一売店といえば、サブグラウンド前の坂道にあったグッズ類の売店のみだ。他の黒潮リーグ開催球場には全て、食べ物関係の売店があったのに…。

そこでいったん球場を出て、再び坂を下って「ローソン」に行った。さっき飲み物を買った際に、店員に「またお越し下さい」と言われたが、まさかすぐにまた来るようになるとは思ってなかったよ。昼食を買い再び球場に戻る。

開設は1965年12月25日。両翼92m、中堅118m、照明は無し。スコアボードはバックスクリーンと一体になっていて、得点表示機能のみ。席は内野はコンクリート製の堤防のようなとても簡素なもの。ネット裏は非常に狭くなっていて、わずか4段しかなく、その上にはプレハブの記者席と広報室があった。外野は芝生席だが、ライト側には無い。収容人員は6000人。

はっきり言ってすごくボロい。安芸市営球場といえば、阪神のキャンプ地としてかなり有名な球場である。そこがまさかこんなボロい球場だとは思わなかった。おまけに蜘蛛の巣が張られていた場所もあった。でも高台にあるので、ライトフェンス越しには土佐湾が見えて雰囲気は良かったけど。

さて、試合15分前になるとスタメンの発表があった。先発ピッチャーは阪神・部坂、ダイエー・吉武。そして余談だが、ダイエーはサードに吉本亮、DHに吉本一、阪神はキャッチャーに吉本、そして三塁塁審も吉本である。観客から「吉本多いやん」という声が聞こえた。なお、阪神のホームゲームながらDH制である。

そして試合開始直前になると、なんとタイガース応援団が登場(2人)、トランペットで「六甲おろし」を演奏しはじめた。黒潮リーグに応援団が出現するとは思わなかったよ。恐るべしタイガースファン。

12時半プレイボール。なお、阪神はユニフォームはホーム用ながら、帽子は黒のビジター用の着用であった。

3回裏阪神は、2死1、2塁から5番北川のセカンドゴロを本間がはじき1点を先制した。そして5回裏には、一軍から参加している3番DH今岡のタイムリーヒット、6回裏には8番吉本がレフトの土手にソロホームランと着実に得点を重ねて都合5点をあげた。

一方ダイエーは8回表に代打本田の犠牲フライと本間のタイムリーヒットによる2点にとどまり、最後は阪神の竹内に抑えられ、5−2で阪神の勝利に終わった。試合終了は15時36分。観衆は約150人。試合後には、何故か「ローソン」の店長がスタンドの掃除をしていた。

他に目についた選手を挙げると、阪神の高波がスイッチヒッターに転向するのか、左打席でバントヒットを決めていた。また、山村や安達が登板したが、この後に解雇されてしまった。

帰りは16時20分発の土佐電鉄バス「桟橋車庫」行に乗り、はりまや橋で下車。17時33分到着の予定だったが、夕方の渋滞のため6分ほど遅れた。運賃1400円。

実はこの日の夜行バスで東京に帰る予定だったが、急に気が変わった。そこでバスのサービスセンターに行き、翌日の便に変更する。

そして、江の口川沿いの屋台(たぶん「安兵衛」という店)へ行き、ビールを飲みながらおでん、餃子、ラーメンを食った(お勘定は2400円也)。なお、この界隈には春季キャンプの時期になると、ダイエー・王監督をはじめとしたプロ野球関係者がよく出没するらしい。

そして「カプセルホテル高知」に4泊目。翌日は、はりまや橋20時発の夜行高速バス「ブルーメッツ号」に乗車。乗客は意外に年配の人が多かった。そしてウォークマンで「ムーンライダース」を聴く。これが夜行バスの旅にはぴったりだった(特に「Beep Beep Be オーライ」)。

21時50分頃瀬戸大橋を渡る。ちょうど行きに乗った「サンライズ瀬戸」(上り)が走っているのが見えた。瀬戸大橋を渡ったところで車内消灯。予定では翌日午前7時30分に新宿着だったが、道がすいていたので実際には6時20分に着いてしまった。

なお、今回の「黒潮リーグツアー4泊7日(2車中泊)」の総費用は70626円だった。

次へ

inserted by FC2 system