藤井寺球場

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さて、1999年6月23日、このシーズン唯一予定されていた藤井寺シーリーズに赴いた。この日は昼間甲子園球場で阪神−近鉄のウエスタンリーグを見てから藤井寺へ。近鉄南大阪線・あべの橋駅から準急に乗り13分で藤井寺駅に到着。甲子園からだとちょうど1時間くらいかかった。

藤井寺駅(1996年撮影)

駅から線路沿いに数分ほど歩くと球場に到着。近くにはコンビニを含め商店が多いので便利な立地である。「B指定」(2400円)を購入。入場時には村上嵩幸のベースボールカード(ラッキーカード)を貰った。しかし当の村上は甲子園の二軍のベンチにいたけど。

B指定に行くには階段でなくスロープを登っていく。古い球場のわりにはなかなかバリアフリーな設計である。場内の売店類はスナック菓子類、うどん、飲み物のみであまり充実していない。「バファローズレストラン」という球場食堂もあるが、ここはA指定席からでないと行くことが出来ない。とりあえず天ぷらうどん(400円)を試合前に食べた。

内野席の売店 ネット裏の売店(1996年)
   
レストランバファローズ(1996年)

試合開始10分前になると、大阪ドームのゲームと同様、バフィー他マスコット4匹とチアガールが出て来て「チアパフォーマンス」が行われた。そのあと「ABCビッグプレーヤー賞」なる表彰式が行なわれ吉田剛が表彰。国歌吹奏、サインボール投げ入れ、リトルリーグ選手の始球式といったセレモニーのあと、近鉄−ロッテ戦は18時にプレイボール。この頃から雨が降り始める。

先発は近鉄・小池、ロッテ・小宮山。2回裏に近鉄は高須の右中間三塁打で2点を先取。しかし3回表にロッテは初芝の二塁打で1点を返す。するとここで雨が強くなってきて、19時7分に一時中断。ちょうど30分で再開される。

5回裏近鉄は1死二、三塁から吉田が2球スクイズをファールしたあとセンターへ犠牲フライを打ち上げ1点を入れる。そして続く中村のフライをショート小坂が落球してもう1点追加。

ここでまた雨で中断する。実は前日も藤井寺で行われる予定だったのだが、雨天中止になっている。この時は早々と14時に中止を決めたが、その後青空が広がり球団事務所には抗議の電話が殺到したそうだ。

そういう事情もあり、この日も天気は良くなかったが決行したのであろう。でも屋根の無い藤井寺のゲームを何故わざわざ梅雨時期に設定したのだろうか? ちなみにこの翌日も雨天中止となり、結局3試合が予定されていた今回の藤井寺シリーズは1試合しか行なわれなかった。

さて、11分間の中断のあと、ローズが初球をライト前に運び、この回3点目を入れる。これで5−1。6回表に近鉄のピッチャーが佐野に代わると、ボーリックがレイトスタンドへソロホームラン。

ロッテにはボーリックがホームランを打つと、ここまで12勝1分で負けないという「不敗神話」がある。しかし近鉄にも藤井寺では現在7連勝中という「藤井寺神話」がある。一体どっちの神話が勝るのか興味深い展開になってきた。

さらにロッテは代打平井、堀の連続2塁打で1点を追加する。これで5−3。ここでピッチャーが柴田に代わる。すると佐野は帰り際に一塁ベンチ横にボールを投げつけた。これは後の報道で知ったのだが、実は前日の試合は佐野が先発予定だったらしい。しかし早期の中止決定に「オレはそんなに信用が無いのか」と不満を漏らしていたいう。そんな思いがこの行為に及んだ伏線にあったようだ。

6回裏近鉄は高須のヒットとボークで2点を追加。7−3とし再びロッテをつきはなす。しかし7回表にロッテは粘る。無死満塁から初芝の犠牲フライでまず1点。続くボーリックの三塁打で2点。さらに平井の犠牲フライで遂に同点を追いついた。さすがに「ボーリック神話」もしぶとい。

しかし7回裏近鉄はローズ、クラークの連続ホームランで2点を勝ち越す。これで勝負あったかと思いきや、8回表、意外や小坂に同点2ランが飛び出した。

そして9回裏、ロッテはハートグレイブスを投入。しかし二死一、二塁から的山に右中間にサヨナラ安打を浴びる。試合終了は22時半。10-9の壮絶な打撃戦であった。そして近鉄の「藤井寺神話」が「ボーリック神話」を破った瞬間でもあった。

これで近鉄は1997年に大阪ドーム移転以降の藤井寺のゲームでは10勝1敗となり、しかもそのうちサヨナラゲームが3試合という凄まじさだ。さらに10月7日には中止になっていたロッテ戦が1試合藤井寺で行われこれも勝利。結局1997年以降は11勝1敗、勝率.917という結果になった。

しかし熱戦のわりにはこの日の観客はわずか5000人。雨模様の天気だったとはいえ、これではこの年限りで藤井寺からの一軍戦完全撤退になったのも致し方ないだろう。そしてこの試合は、筆者にとって最後の藤井寺観戦となった。

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