一本杉球場

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1999年8月29日の昼すぎ、京王線で多摩センターに着いた筆者は、駅前「8番バスのりば」から京王バス「永山駅」行に乗り込んだ。

バスは均一運賃制ではないにもかかわらず何故か運賃が前払いになっており、乗車時に行き先を告げてお金を払わなければならなかった。

この慣れないシステムに戸惑ってしまい、「南野高校前」という停留所名を間違えて「みなみがおか高校前」と言ってしまった。しかし運転手は了解したようであった。運賃は190円。

約8分程バスに揺られて、その「南野高校前」で降りる。なお、このバス停に行くには「聖蹟桜ヶ丘駅」行や「鶴川駅」行に乗ってもよい。

ちなみに「一本杉公園」というバス停も有るが、このバス停には1時間に1本くらいしかバスが停まらないので、あまり役に立たない。

そしてバス停から少し戻った所に交差点があり、その交差点の角に「一本杉公園」の入口がある。入口からテニスコート脇のゆるい坂道を抜けると、程なく一本杉球場の外野席裏に出る。ただし外野には入口は無く、ぐるりと回ってネット裏の入口へ行く。

ネット裏には球場の管理事務所があり、その前で巨人の選手が自販機で飲み物を買っていた。そしてそこにはサインを頼むファンが群がっていた。

この日のゲームはイースタンリーグ公式戦・ロッテ−巨人。ここ数年、一本杉球場では毎年この時期に「プロ野球あすなろ達の戦い」と銘打たれ、二軍戦が行われている。多摩センターには自宅から京王線1本で行けることもあり、筆者は他に予定がないがぎり毎年観に行くようにしている。

主催は「多摩市あすなろ市民スポーツ振興協会」という組織がボランティアでやっているらしい。入場料は中学生以上300円、小学生100円。4年前に来た時は無料だったはずだが、「会場整備清掃費」という名目で有料になったようだ。入口で300円を払うと、入場券の代わりに領収証をくれた。領収証には「会場整備清掃費として、上記正に領収致しました。」と書かれていた。

入口脇にはテントの売店があり、たこやき、焼きそば、フランクフルト、かき氷などが売られていた。缶ビール250円はほぼ定価に近い。そして一塁側スタンド上には「本部席」と書かれたテントがあり、まさに「市民イベント」といった雰囲気である。

一本杉球場は開設1981年4月。グラウンドは掘り下げ式で両翼91m、中堅120m。照明塔は4基で、観客席はネット裏が長椅子、内野から外野にかけては芝生席となっている。スコアボードは手書きで、選手名表示の機能は有るのだが、この日は表示されなかった。なお、一塁ベンチ脇にも草野球用と思われるスコアボードがあった。

球場正面には「一本杉公園記念植樹」というものが有り、多摩市長の名前とともに川上哲治氏の名前が刻まれていた。またこの球場は、江夏豊の引退試合(1985年1月19日)が行われた場所としても有名である。そして例年高校野球の西東京大会予選にも使われている。

試合開始15分前に、開会セレモニーが始まった。まず始めに主催者代表のあいさつ。この人はもっと喋りたかったようだが、場内アナウンスにより無理矢理途中で話しを打ち切られてしまう。会場からは笑いが起こった。

そのあと多摩市長、市議会議長、都議会議員、多摩市体育協会会長ら計5名にも及ぶあいさつが続いた。これでは1人で長々と喋られたら困るわけだ。

そして両軍監督に花束贈呈。ピッチャー・市議、バッター・市長による始球式があり、試合は定刻午後1時に始まった。

先発投手はロッテ・寺村、巨人・ホセ。1回表巨人は、センター立川の落球に乗じて3点を先取した。しかしロッテは2回裏にダイのタイムリーヒットで1点を返す。

さて、実はスタンドでは普段のプロ野球では見られないことが行われていた。それは「ブラスバンドの演奏」である。

これは「都立永山高校吹奏楽部OB」によるもので、両軍の攻撃のたびに、ご苦労なことにいちいち1、3塁スタンドを往復して演奏をしていた。

そしてロッテの攻撃の時には「サザエさん」や「魔法使いサリー」を演奏したりと、一応選曲は両チームで別にしているようだった(ちょっと古い選曲だが)。ノリは完全に「高校野球の応援」で、この辺もいかにも「市民イベント」らしい(笑)。

3回表、巨人の攻撃中にトラブルが発生。ピッチャーズプレートがグラつくと、ロッテ・寺村がクレームをつけたようで、グラウンド整備員が出て来てマウンドをほじくりかえした。このためしばし中断。

マウンドの状態が戻り、試合再開となったその初球を福王がセンターオーバーの2ランホームラン。福王は4回にも2打席連続ホームランを放った。

その後、ロッテ・佐藤も2本のアーチを描くが追いつけず、9−7で巨人の逃げ切り。3時間52分の長〜い試合であった。なお、観客の入りは、内野スタンドはほぼ満員。芝生席はパラパラであった。

帰りは、球場から多摩センター駅まで散歩がてらテクテクと歩いた。この辺は、鉄道が開通した1970年代には何も無いような山村だったが、現在では開発が進み、またこの日は日曜日ということもあり、駅前のスーパーやデパート周辺には人がいっぱいいた。そして筆者はふらりと「パルテノン多摩」内の常設展示「多摩の自然とくらし」というのを覗いてみた。

★★★

2000年8月27日、今年も一本杉球場へ出掛けた。今回はわざわざ立川まで行き、多摩都市モノレールで多摩センターへ行った。これは一度このモノレールに乗ってみたかったからである。

モノレールの車内から眺める多摩丘陵はなかなかいい眺めであった。またいつか機会があったら乗ってみたい。

なお、駅の告知ポスターを見ると2日後の8月29日に「西武ライオンズ応援イベント列車」というのが運行されるようであった。

これは2600円で、「多摩モノレール多摩センター駅から上北台駅までの片道運賃」+「上北台駅から西武ドームまでの西武バス片道運賃」+「西武ドーム内野自由席料金」がセットになっていて、レオマーク付きの貸切り列車で運行されるようであった。これも来年にでも機会があったら乗ってみようか。

さて多摩センターに到着。駅前の「多摩そごう」には閉店セールにたくさんの行列が出来ていた。それを横目に見ながら「イトーヨーカドー」で飲み物を購入。

そして球場に向かうのだが、その前にちょっと寄りたい場所があった。それは「ラーメンショップ西海」という店である。前年も野球帰りに立ち寄ったのだが、その時には売り切れで閉店していた。そこで今回は球場に行く前に寄ることにした。

11時の開店とほぼ同時に入店。しばらくすると店の外にはあっという間に行列が出来上っていた。そして一応代表的なメニューらしいので角煮ラーメン680円を食う。

この店は店名からも察しられるように長崎と関わりがあるようで、九州風のトンコツスープながら平戸の海でとれた焼きアゴ(トビウオ)をダシに加えてあり、具には「アオサ」と呼ばれる岩海苔が入っている。また、カウンターには水のかわりに「長崎びわ茶」という飲み物が置かれていた。

さて店を出て再び歩いて一本杉球場に到着。入場料は大人(高校生以上)600円であった。前年は300円で今回はさらにその倍と、年々金額が高くなっている。なお今回の入場券は領収書ではなく一応チケットの形をしていた。

試合開始の1時間くらい前に、突如一塁側スタンドで「和太鼓の会 鼓遊」による応援パフォーマンスが始まる。そしてスタンドをチンドン屋のように練り歩く。

前年同様、野球のイベントというよりは「市民イベント」に近いノリだ。なお「鼓遊」のメンバーは試合中にはヤキソバの売り子と化していた。

なお、スタンド上の通路には売店が出ていたが、生ビール400円、やきそば300円、お好み焼き(大)400円、お好み焼き(小)200円、かき氷200円、やきとり100円と、わりとリーズナブルな値段であった。この日は暑かったため、かき氷に行列が出来ていた。

その後グラウンドでは、多摩市あすなろ市民スポーツ振興協会会長、多摩市長、多摩市議会副議長、衆議院・伊藤公介議員、都議会・小磯明議員、多摩市体育協会会長らのあいさつが続く。ここいらへんの長々としたところも「市民イベント」っぽい。

そして少年野球チーム「多摩ファイターズ」から両軍監督に花束贈呈。ちなみにこの「多摩ファイターズ」にはロッテの早川健一郎が在籍していたそうだ。始球式はピッチャー小磯議員、バッターには多摩市長が立ちショートゴロを打った。

さて前置きが長くなったが、ようやくプレイボール。先発はロッテ・薮田、巨人・入来弟。1回表、先頭打者の宮崎がライトポール際にフライを打ち上げた。これをライト於保が見失い、いきなり「初回先頭打者ランニングホームラン」となってしまった。

3回表、今度は打者山田の時に、キャッチャー池野が打撃妨害。池野は前日にも神宮のヤクルト戦で打撃妨害をやらかしているので「2試合連続」である。

このへんで客席に目を向けると、前日の神宮球場でも見かけた秦ユニフォームを着たカップル、田野倉のオリオンズ時代のユニフォームを着た人、某サイトの管理人、そしてライトスタンドにはマリーンズ応援団などが見受けられた。

  

その後試合は、4回表にこの回先頭打者の田辺がレフトスタンドへソロホームランを打ち込み2−0となる。そして巨人は8回から小野にスイッチ。そのまま2−0であっけなく終わってしまった。

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