アイビースタジアム

(ゲスト寄稿/広島県・いの一番さん)

MAP

2003年10月、宮崎市西部の田園地帯に「生目の杜(いきめのもり)運動公園」がオープンした。予定された施設のうち一部が完成した段階での暫定開業だが、"スポーツランドみやざき"に誕生した新しい施設として注目を集めている場所だ。

また、ここは2003年秋からダイエーホークスがキャンプ地として使用を始めたことでも話題になっている。ダイエーは10年以上にわたり高知市でキャンプを行ってきたが、宮崎市の熱心な誘致活動を受けて移転を決めたもので、野球ファンにとっても見逃せない場所である。

筆者は2003年11月、現地を訪問する機会があり、公園内をひととおり見学することができた。本稿ではその時の情報をもとに、メイン野球場であるアイビースタジアムを中心に、生目の杜運動公園について紹介していこう。


<生目の杜運動公園ができるまで>

生目の杜運動公園の整備は、1994年4月、宮崎市制70周年記念事業の一つとして打ち出されたことに始まる。当時この場所には市の西部運動公園があったが、敷地を広げるとともに、施設を全面的に造り直すことになり、1996年2月に基本構想が、次いで1999年3月には基本設計が完成し、翌月から造成工事が始まった。そして、2003年10月、予定のうち半分ほどまで出来上がったところで暫定的に開業し、一般の利用が開始されたのである。

なお、残り部分については引き続き整備が進められており、2009年を目途にすべての施設が完成する予定だ。完成後の公園面積は約35.4ha、総事業費は約173億円の大事業である。


<アイビースタジアムの概要>


アイビースタジアム外観

アイビースタジアムは、公園の施設の中ではいち早く2000年11月に着工され、2002年12月に完成した。建設費は約30億円である。まずグラウンドは両翼100m、センター122m、内野は土で外野は天然芝、バックネット前は人工芝が敷かれ、市章と「MIYAZAKI CITY」の文字が入っている。フェンスの色は青で、外野フェンスと金網を足した高さは2mを少し超えたくらいだ。

ブルペンは一塁側、三塁側のスタンドの一部を切り欠いて設置されており、2人分の投球スペースがある。最近はこのような形の球場が結構増えてきたが、ここの場合、かなり大きくスタンドを切り込んでおり、周囲の観客は高い金網が目障りになりグラウンドが見にくいと思われる。もう少し何とかならなかったのか。また、グラウンドに面した部分は全面金網だが、危険防止のため下側にはラバーを貼ってほしいものだ。

ネット裏から
   
一塁側から 三塁側から
   
ライト側から レフト側から

次にスタンドは内野席が6000人、外野席が5000人の計11000人収容だ。内野席のうちネット裏の赤い座席は背もたれ付き、その他の青い座席はベンチ席で、座席にはすべて番号が付されており、全席を指定席にすることが可能である。なお外野席は芝生席だ。内野席は最近の流れであるバリアフリー化にも対応しており、スロープやエレベータが設置され通路も広い。身障者のための観戦スペースも設けられている。


ネット裏スタンド

その他、スタンドの設備で目につくのは、内野スタンド裏のコンコースに売店のスペースが確保されていることで、このクラスの球場でここまで整備するのは珍しいように思う。


売店スペース

次にスコアボードはバックスクリーン一体型で、フェンスの色と同じく青を基調としている。磁気反転式で、レイアウトは地方球場によくある標準型だ。照明塔は6基あり、平均の明るさは1500ルクスだそうである。


スコアボード

なお、球場の名称は公募により決まったもので、内野スタンドの外壁をその名のとおり「アイビー」(ツタ)が既に覆いはじめている。年月が経てば甲子園球場のように全面がツタになるのだろう。


外壁のツタ

以上、画像もご覧になればわかるように、この球場はかなりレベルが高い。公園事務所によると、プロ野球の一軍公式戦も可能とのことだ。もっとも収容人員が少ないので、宮崎で一軍戦をするのならサンマリンでしょうねとも言っていたが…。

ならば何もこんな大きなスタンドにしなくてもよかったのでは、と思いたくなるが、それはともかく、これだけのものを造ったのだから、一軍戦は無理でも、オープン戦や二軍戦、その他各種大会でしっかり活用してもらいたいと思う。

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