明治神宮第二球場

MAP

1999年11月13日、久しぶりに神宮第二球場へ行く。この日、筆者は午前7時28分東京着の寝台特急「あさかぜ」で広島から帰京した。

そして自宅には帰らずに、そのまま信濃町へと向かう。ちょうどこの日から「明治神宮野球大会」が始まるからである。

通称「神宮大会」と呼ばれるこの大会は、1970年に「明治神宮鎮座50周年」を記念して始まり、今回は第30回大会となる。当初は大学の部だけだったが、第4回から高校の部も開催されるようになった。

さて、球場に着き入場券を買う。料金は一般1300円(学生だと500円でかなり割安)。

券を受け取ると、半券が2枚付いているのに気がつく。1枚のチケットで神宮球場と第二球場に両方入場出来るようになっているのである。何か得した気分だ(ただし一旦球場から出たら再入場は不可)。

そこでまず神宮球場の方に入る。正面入口の通路には、優勝旗とトロフィーが飾ってあった。

第1試合は高校の部・1回戦の四日市工−東海大相模。大会会長の始球式の後、午前8時半にプレイボールがかかった。

朝8時台から野球を観るのは初めてだ。たぶん夜行列車帰りじゃなかったら、こんなに早く球場には来なかったかもしれない。1回表にまず四日市工が1点を先制する。

このへんで朝飯にうどんでも食おうと思い売店に行くが、まだそば・うどん類は営業をしていなかった。そこでカレーライス(600円)を食う。内野席のカレーはたぶん初めて食うが、なんか民宿で出されるカレーのようで筆者好みの味ではなかった。神宮のカレーは外野席のほうがうまい。

3回裏には東海大相模が3点を入れて逆転する。なお、ここで両校応援団に目をやると、東海大相模はチアガールがいて華やかであったが、四日市工のほうは控えの野球部員と父兄のみであった。しかしモーニング娘の「ラブマシーン」の替え歌などで、元気に応援をしていた。

5回表四日市工は2点を入れ同点。試合はそのまま均衡が続き延長戦に突入する。そして11回表、四日市工のピッチャー秋葉がライトスタンドで勝ち越しのソロホームランを打ち込んだ。

結局これが決勝点となり、4−3で四日市工が勝利を収めた。試合終了は11時20分。ちなみに四日市工はこの後も勝ち進み、高校の部で優勝することになった。

さて、ここで第二球場に移動する。中に入るとタイミング良く、ちょうど第2試合の大学の部・東北福祉大−愛知工業大の試合が始まるところだった。

ここ数年多数のプロ野球選手を輩出する東北福祉大であるが、筆者はこのチームの試合を観るのは今回が始めてである。たぶん今日出場している選手の中にも、プロ入りする者がいるのだろう(事実この6日後のドラフトで投手の奈良が近鉄に指名された)。

その福祉大は1回表、集中打で4点を先取する。ちなみに福祉大のヘルメットは、黒にツバがオレンジでダイエーに似ている。

このへんでまた応援団に目をやると、福祉大のほうはチアガールとブラスバンドが来ていて、大変賑やかである。

チアガールは第1試合で見た高校生に比べると、やはり洗練されているように思えた。ちなみにブラスバンドはすべて女性であった。

一方愛工大のほうは、誰も応援していなかった。これじゃあ選手の士気に影響が出るよ。

さて、神宮第二球場の開設は1964年9月1日。当初はプロ用の球場として計画されたらしいが、結局アマチュア専用球場となる。

ただし川本三郎氏のエッセイによると、神宮球場の改装中にプロ野球のオープン戦が行われたことがあるらしい(未確認)。

両翼91m、中堅116m、収容人員は5636人。以前は内外野ともに芝生が無く、全面土のグラウンドだったが、1993年に全面人工芝となっている。

照明設備は無し。スコアボードは手書きで、「世界の時計SEIKO」という神宮球場と同じ広告が付いている。

観客席はネット裏のみで、2階席もあるのだがこの日は未開放であった。2階席からは神宮球場も覗け、同時に2試合を観ることが可能なのに残念である(あるいは、そういう輩がいるから2階席を封鎖しているのかもしれないが)。

でも1階席はほぼ満員だったので、開放してほしかった。なお、レフトの後には国立競技場があるが、そこのスタンドのてんぺんから第二球場を覗けるかも知れない。

1階席の椅子は神宮球場の外野席と同タイプの背もたれ無しの独立タイプ。2階席はコンクリート製の長椅子である(実はこっそりと登った)。ネット裏には記者席が3列分あり、意外と多くの記者がいた。

この球場の最大の特徴は、球場内にゴルフ練習場(いわゆる「打ちっ放し」)があることである。

一塁側の本来ならスタンドがあるべき場所が、4階建ての「神宮外苑西ゴルフ練習場」となっているのだ。なお、その1階部分が、この日はカメラマン席として使用されていた。

ちなみにゴルフ練習場の入口には、「野球の試合があるため午後3時半頃オープン」という告知が出ていた。

なお、ライトフェンスの後には「神宮外苑東ゴルフ練習場」があり、こちらは野球に関係なく営業中である。

この球場は上記のようにゴルフ練習場との併用のため、高い防球ネットがグラウンド全体をぐるっと囲んでおり、バックスクリーンやスコアボードさえも、ネットの向こう側にある。ただしベンチ上のネットは低く見やすい。

売店は正面入口前に1ヶ所。ビール500円、中華まん各種150円、くるくるロール250円、日本酒450円、その他お菓子類、「神宮ガイドブック」、「神宮大会メンバー表」などを売っていた。

ここでメンバー表(100円)を買う。その中で愛工大に「鈴木孝政」という選手を見つけた。きっと親が熱烈なドラゴンズファンなのだろう(笑)。

また、球場内の階段には「東都大学の生徒達へ ここで喫煙・飲食を堅く禁ずる。見つけたものは今後一切、第二球場の立ち入りを禁止する」という貼り紙があった。

さて、試合のほうは7回裏愛工大は併殺打の間にようやく1点を返す。しかし続く8回表、福祉大は愛工大のまずい守備や大須賀の3ランホームランなどで4点を追加して7点差とした。7点以上点差が開くとどうやらコールドゲームとなるようである。

その裏愛工大は、盗塁を敢行するなどしてなんとかコールド負けを逃れようとしたが、結局無得点に終わり、8回コールドで福祉大が8−1で圧勝した。試合時間は2時間20分。

目次へ

inserted by FC2 system