上富田スポーツセンター野球場

(ゲスト寄稿/広島県・いの一番さん)

MAP

2002年5月11日早朝、筆者はウエスタンリーグの阪神−近鉄を観戦するため広島駅を出発した。今日の目的地は和歌山県上富田町、温泉で有名な白浜の隣にある町だ。

新大阪まで新幹線、そこから「オーシャンアロー号」に乗り換え紀伊田辺駅に11時過ぎに着いた。上富田町の中心駅は2つ先の朝来(あっそ)だが、そこは特急は停まらず接続する普通列車もないのでここで下車する。出かける前の下調べで、ここからどう行くか考えたのだが、朝来方面にバスが出ており、球場に一番近いバス停から歩けば何とかなるだろうと思い、駅前から出るバスに乗った。

しかし実際にやってみるとこの方法は誤りだった。降りるバス停を一つ間違った上、長い上り坂を延々40分も歩くハメになってしまったからだ。もし今後鉄道でこの球場に行く人がいれば紀伊田辺駅からタクシーを利用するのがよいと思う。多分10分くらいで着くだろう。

さて、やっとのことで球場に着き、入口で入場券を買う。料金は内外野一律1200円で地方の二軍戦では妥当なところだろう。入口から階段を上がるとそこが右中間スタンドで、球場の全景が目の前に広がった。


入場券

ここで球場の概要を紹介しよう。

グラウンド:両翼98m、センター122m、内野土、外野天然芝
スタンド:ネット裏とベンチ上長イス、その他芝生席、3200人収容(役場のHPによる)
スコアボード:手書式

ライト側から レフト側から
 
スコアボード

この球場の特徴は2つある。一つは普通ならスタンド下にある場内放送室や関係者控え室がネット裏スタンドの最上段にあることだ。もう一つは内野スタンドのネットの高さで、これがとても高いのだ。しかも最初に設置した金網の上に後から別の種類のネットを継ぎ足しているという変な構造である。ファウルボールの事故を防ぐためと思われるが、このネットがあるため非常にグラウンドが見にくい。事故に対して神経過敏になっている気がする。

スタンド最上段にある関係者控室 二段になっている内野のネット

しかしグラウンドは公認野球規則の基準を満たしており十分な広さがある。和歌山県でこのクラスの広さがあるのは他には有田市民球場くらいのものなので(2002年6月現在)、実はここは県内でもトップクラスの球場なのである。

やがて試合開始の12時30分が近づきセレモニーが始まった。上富田町長のあいさつ、両軍監督へ地元特産品の贈呈、和歌山県出身で高校時代にバッテリーを組んでいた中谷(阪神)、高塚(近鉄)両選手に花束の贈呈と続き、少年野球選手の始球式で試合開始である。スタンドを見れば結構な客の入りで2000人くらいはいる感じだ。ふだんプロ野球と縁のない場所なので、二軍戦とはいえ生の試合を見たい人が多いのだろう。

試合は1、2回両軍無得点で淡々と進んだ。鳴り物の応援はなく静かな雰囲気だったが、3回裏に阪神が1点を先制すると大きな拍手が起きた。観客の反応を見ると阪神に対する声援の方がはるかに多い。同じ関西の球団とはいえ人気の差は歴然としたものがある。

ところで筆者は気になることがあった。それはスタンド最上段にある場内放送席に選手交代を審判がどうやって伝えるかということである。しばらく見ていると次のような方法で伝えているのがわかった。

(代打、代走の時)
放送席に手を振って該当の選手を指差す。ウグイス嬢は背番号を確認して場内放送。

(複数の選手交代の時)
一塁ベンチ横にある放送席との直通電話で伝える。

交代の度に審判がスタンドを駆け上がるのではないかと思ったが、さすがにそれはなかった。


電話で交代を伝える白井球審

話を試合に戻すと、近鉄は阪神先発のカーライルを打ちあぐねゼロ行進、一方阪神はご当地選手の中谷が6回にホームラン、8回にタイムリーヒットと2打点の活躍で、結局3−0で阪神が勝った。試合時間はわずか2時間13分だった。

試合が早く終わったので朝来駅まで歩くことにした。行きと違って下り坂なので約40分かかったが大して疲れることはなかった。朝来から紀伊田辺まで鈍行、そこから「くろしお」「ひかり」と乗り継いで広島駅に帰ったのは20時40分であった。


紀勢本線普通列車(朝来駅)

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