高知市野球場

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1999年10月16日、22時東京発の寝台特急「サンライズ瀬戸」の「ノビノビ座席」に乗り込む。この席は一応「座席」という名前がついているが、カーペット敷きになっているので、ゴロンと横になって寝ることが出来る。それでいて寝台料金(6300円)を払わないで済むのは大変お得に感じた。

そして翌17日の7時8分、土讃線に乗り換えるために香川県の坂出で下車。とりあえず朝食を食べるために駅の外へ出る。もちろん香川といったらドカベン、いや「讃岐うどん」を食べるつもりだ。

駅から歩いて10数分のところに「いきいきうどん」という店があり、幸い朝早くから営業しているようだ。この店は香川県によくあるタイプの、うどんを自分で湯掻く、いわゆる「セルフの店」である。

香川県人は、うどん屋を喫茶店がわりに使っているという話を聞いたことがあるが、まさにこの店は新聞や雑誌などが置いてあり、十分喫茶店代わりになる店であった。また、おでんや揚げ出し豆腐なども置いてあり、酒を飲むのにもよさそうだ(さすがに朝からは飲まなかったけど)。こういう店が東京にもあったらいいのにと思う。

朝食を済ませたあと、9時5分発の特急「しまんと」に乗る。坂出駅の発車チャイムは「瀬戸の花嫁」のメロディであった。土讃線は途中、車窓左側に小歩危峡、右側に大歩危峡の景勝地を通過した。筆者は車内が空いていたので、そのたびに席を移動して車窓を眺めた。この景色を見るのは、中学生時代の修学旅行以来である。

さて、今回高知に行く目的は「黒潮リーグ」である。「黒潮リーグ」とは、例年10月中旬に行なわれているファームの教育リーグである。

今年(1999年)は、一軍の公式戦終了から日本シリーズまでわりと日数が開いてしまったため、それならばこの時期に黒潮リーグを観に行ってしまおうと決めた。黒潮リーグに行くのは5年ぶり2回目であるが、前回は2球場しか行けなかったので、今回は4球場全部を回ることにした。

なお、今回スケジュールを組むにあたって、出来れば参加6球団全部を観てみたかったのだが、どう組んでみても1チーム外れてしまう。そこで結局個人的に「一番どうでもいいチーム」を外すことにした。

10時58分高知に到着。ホームで昼食用に駅弁「かつおたたき弁当」(1050円)を買う。これは駅弁ながら刺身(鰹のたたき)が入っているという、大変珍しいものだ。中にはちゃんと保冷剤が入っていた。

駅前からは路面電車の土佐電鉄(地元では「とでん」と言う)に乗り、はりまや橋で乗り換え、「グランド通」という電停で降りる。高知駅からは約15分。

そして電停から鏡川を渡り、700mほど歩くと高知市野球場に到着。この球場は高知市総合運動場内にあり、他には陸上競技場兼競輪場、総合体育館、テニスコート、相撲場、補助グラウンドなどが併設されている。

球場の開設は1933年5月。両翼91.4m、中堅118.9m、収容人員13000人。スコアボードは手書きで照明は無し。1985年には阪急−西武の公式戦が開催されたことがある。また、ダイエーのキャンプ地としても有名である。そのため球場の近くにはダイエーの優勝を祝福する看板や横断幕があった。

黒潮リーグは全試合入場無料。この日は日曜なので、球場正面には「身体障害者チャリティー募金」が行なわれていた。これは土・日のみ行なわれていて、募金をするとプロ野球グッズが貰えるというものである。グッズの中には近鉄の大石大二郎のものがあった。おそらくデッドストックなのであろう。

スタンド下の場外には売店があり、お好み焼き(200円)、うどん(300円)、焼きそば(300円)、カレーライス(400円)、おでん、フランクフルトなどが売られていた。値段は概して安めである。

そして入口に置いてあった「黒潮リーグのパンフレット」を持ち入場する。場内にはロッテのファーム情報紙「カモメ通信」も置いてあった。

この日のカードはロッテ−ダイエー。グラウンドを見てまず驚いたのは、ロッテのユニフォームがいつもと違うことである。後で知ったのだが、これは「ゲンが悪い」とかでお蔵入りしていた1999年版のサマージャージで、黒潮リーグと11月3日の「ファン感謝デー」のみで着用されたものだそうだ。

さて試合開始20分前になるとスタメンが発表された。ダイエーは日本シリーズに備えて、城島、柳田、松中らの主力選手の名前が告げられた。そして先発投手は若田部である。一方ロッテの先発投手は小野。レギュラークラスでは福浦、大塚といったことろがメンバーに名を連ねていた。

なお、スコアボードには選手名は表示されない。これは黒潮リーグ開催球場すべてに共通していた。入場無料のため経費を節約しているのだろうか。

1回表、ダイエーは3番に入った松中が貫禄の先制2ランホームラン。しかしその裏ロッテも、若田部から3番天野が左中間に同点2ランを打ち込んだ。

そして3回裏にはダイエー・サード吉本亮、レフト・吉本一の「ダブル吉本」がエラーをして、ロッテが1点を勝ち越す。

しかしダイエーは、6回表に城島に代わって途中からマスクをかぶった5番川越が逆転3ラン。川越は8回にも2打席連続ホームランを放った。

そしてダイエーはそのあと投手を佐久本−ヒデカズと繋ぎ、結局7−3で勝利を収めた。

この日の観客は、目測で700人くらいであった。そしてキャンプ地ということもあり、また優勝したからというものあってか、ダイエー側(三塁側)の入りが多いようであった。

また、ネット裏には放送用の小部屋が観客席に張り出すように作られていて、その下がちょうど日よけとなるので、そこに座って観ている人が多くいた。

なお今回の旅は、なるべく金を使いたくなかったので、宿は電話帖で見つけた「カプセルホテル高知」に泊まる。1泊2630円である。そして夕食もコンビニで買って済ます。

「春野球場」へ続く。

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