皇子山球場

(ゲスト寄稿/京都府・ふさ千明さん)

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2004年3月21日、滋賀県皇子山球場で教育リーグ巨人対阪神戦が行われると聞き、滋賀でのプロ野球開催は珍しいので足を向けてみた。前売りだけで完売と言う事は知っていたが、さほどの遠出でもなかったため、中に入れなければ球場見物をするだけでも良いと思ったのである。

JRの最寄り駅である湖西線の西大津を降りて高架下を歩くと、案の定すぐに「巨人阪神交流戦 当日券はありません 前売りで完売しました」という 貼り紙が現れた。気にせず歩くと、スロープに出くわし、それを上がれば京阪電鉄石山坂本線の皇子山駅が見えてくる。駅を通り越すと、もうそこは皇子山球場だ。

券がなく中へ入れないため、球場見物をすべく周りをぐるっと回ろうと歩き出すと、内野と外野の間にあたる部分に人がたむろしているのに気が付く。何だろうと思い立ち止まると、ここからわずかに中をのぞけたので「ラッキー、タダ見だ」と、グルリ一周を取りやめて覗き見観戦する事にした。

するとどこからか「こちらからは入場できませんので、内野の入り口にお回りください」とのアナウンスが。よく聞くと「券のないお客様は…」と言っている。いくら教育リーグだからといってそんなウマい話があるもんだろうかと半信半疑で向かってみると、確かにさっきまで居たもぎり係の姿もなく、フリーパスで入れる。

コンクリートむき出しの階段を上がると、「内野は満員ですので、外野側の芝生の方にお回りください」という誘導があった。指示通りそのまま進むと、確かに芝生は敷いてあるが、「席」というには少し抵抗がある急斜面。まぁ、イレギュラーな事態に好意的に対応してもらっているので不満はないが、座るにしても、安定する位置を探し当てないとずるずると滑っていってしまうので少し怖い。食べ物を買いにいこうと腰を上げても、歩くのもままならないため通路に出るまでに次のイニングが始まってしまう。

こんな状況であったため、他の席の様子など球場全体の情報は遠くから眺めて判断するしかなかった。まずグラウンドだが、内野は土で外野は天然芝。これがいわゆる地方球場でオーソドックスなパターンになっているのはもしかすると地元高校球児の事を考え、甲子園を意識しているからかな、と思ったりもする。そういえばバックネット裏の座席にかかっている屋根も、なんだか甲子園のそれに似ている。

広さは、フェンスに両翼100m、中堅122mの表示があるのだが、座っている位置のためか、見た印象ではそれより若干狭く感じた。スコアボードは電光掲示板。照明設備もあるので、ナイターも可能だろう。座席は、バックネット裏は遠くてよく分からなかったが、外野に近い内野席はコンクリート席で、外野席は芝生。規模は一万人程度の収容だろうか…。なにしろぎっちり入っているので、多いようにも見えるし、案外少ないのかも、という思いにもかられる。

ちなみにこの日の試合は、関西では珍しく巨人がホームとなっており、一塁側に巨人、三塁側に阪神という配置が、なかなか不思議な感じがした。イニングの合間にはスコアボードの文字の出る部分を使って、今シーズン大阪ドームで行われる巨人の主催試合の宣伝を行っていたりしたのも、それに拍車をかけた。

また、これは直接観戦とは関係ないが、球場のすぐ後ろを前述した京阪電鉄石山坂本線が走っており、試合中何本もの電車が通過した。すなわち、ここは車窓から試合が見える球場でもある。

さて、試合展開だが、巨人西村、阪神久保田と両軍期待のかかる若手投手で始まり、矢野の先頭打者ホームランで巨人が先制したものの、直後に阪神が早川のタイムリーなどでひっくり返し、そのまま中盤まで阪神ペース。これで最後まで行くかと思われた7回裏に巨人が3点とって追いつくと言うなかなかの好ゲーム。タダで見ているのがとても申し訳なく感じられた。それをまた8回表に阪神が2点突き放し、そのままゲームセット。7−5で阪神タイガースの勝利。

観戦しての感想としては、慣れない球場だからか、はたまた二軍クラスの多い教育リーグだからか、エラーがやたら目についた。それと、これは試合とは直接関係ないが、土地柄か観客はビジター側の阪神ファンが多く、勢いが良かった。

帰り際、球場を一周しようと思ったが、選手の出待ちをする人の数が尋常ならざる多さで、そのために警備員のガードが厳しく、また退場する人の波に流されてしまい、諦める。くる時とは別の道をたどって駅へ向かう途中に、ジャスコを見つけた。食べ物をあらかじめ買って入るなら、駅のコンビニおよび駅前の志津屋(パン屋)と、このジャスコが候補になるだろう。西大津駅が京都駅から電車で2駅目、時間にして10分という立地条件の良さもあり、ぜひここでのプロ野球開催を増やして欲しいと思った。

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