さよなら川崎球場
第3部
「オープン戦前売り」にて(2000年3月3日)
2月17日に、当初は横浜スタジアムで予定されていた3月26日のサントリーカップが、「川崎劇場ファイナルシーン メモリアル・ゲーム 横浜−千葉ロッテ」と銘打たれて、急遽川崎球場で行われることが発表された。
これは是が非でも行かねばなるまい。当日はきっと満員になるだろう。前売券を買っておいたほうが無難である。そこで前売り発売当日の3月3日、川崎へ出掛けた。
午前9時20分頃、前売り場所の川崎市体育館へ到着。体育館は川崎球場の近くにある。なお、球場ではなくてこちらに買いに来た理由は、球場よりも発売開始時刻が早い(午前9時)ためである。
体育館の事務所内にある前売場所で、頼まれていた分を含め計10枚を購入。チケットは半券が付いていないものだった。そしてそのあと、川崎球場の様子を見に行ってみた。こちらは午前10時の発売開始である。
9時半の時点で、球場前には70人くらいの列が出来ていた。新聞報道によると、結局この日一日で用意していた前売券19000枚のうち、10000枚が売れたそうだ。
チケット
球場前の行列
球場前の駐車場に貼られていたポスター
(これは試合当日に抽選で500人にプレゼントされるらしい)
このあと、せっかく川崎に来たのだから例の「金子商店」に行ってみることにした。そして普段は通らない場所を歩いていると「野球場裏」というバス停を発見。こんな名前のバス停があったんだねぇ(ちなみに球場の最寄のバス停の名前は「教育文化会館前」である)。このバス停は、球場閉鎖後には改称されるのだろうか?(もっともグラウンド自体は残るのだから、改称する必要はないかもしれないが)
「野球場裏」バス停
そして金子商店を目指して新川通りを歩いていると、うわさに聞いていた「KOREA TOWN」があった。へえ〜、こんな場所にあったのか。そこで、ちょっと寄り道をしてみた。やはり焼肉屋が多い。ちなみにコンビニがあったので、品揃えに何か特色がないかと覗いてみた。一応キムチが売られていたが、日本製であった。
「KOREA TOWN」の入口
ここで急にトイレに行きたくなったので、近くの公園へ行く。するとそこには野球場があった。主に草野球に使われる球場なのだろうが、バックスクリーンやカウント表示器もありなかなか本格的である。名前は「桜川球場」という。
また、その公園内には昭和44年3月31日限りで廃止された川崎市電の車両が保存されていた。どうやらこの近くを、かつては市電が走っていたようだ。寄り道をすると「意外な発見」があって楽しいものだ。ただし車両は建物の中に保存されていて、入口には錠がかけられていたのであまりよくは見えなかった。
桜川球場
保存車両の説明書き
さて、新川通りに戻りホトホトとしばらく歩くと、目印にしていた「浜町三丁目」のバス停が見つかる。するとバス停のすぐ近くに、目指す「金子商店」があった。ちなみに看板には「金子」としか書いてなく、その文字に続いて「浜町支店」という文字の跡があった。なお、店は左側の庇部分に「中華そば専門」と書かれていて、右側のガラス扉には「金子氷店」と書かれていた。
金子商店
午前11時開店だと思っていたので、しばらく店の前で待っていたのだが、なかなか開かない。そこで、近くの「セブンイレブン」で立ち読みをしながら時間をつぶした。そして11時半を過ぎたところでようやく開店。中に入ってから聞いてみたら11時半開店とのことだった。
店内はカウンター7席のみ。メニューは川崎球場内での営業とは違い、みそラーメンやギョーザなどもある。でもここは当然ラーメンを注文。値段は球場よりも50円安く、500円である。
ラーメンは、球場とまったく同じものが出て来るものと予想していたが、実はちょっと違った。まず丼が大きい。そして麺の量も多い。具もワカメが入っていて、チャーシューもちょっと厚かった。
金子商店のラーメン
メニュー | |
ラーメン | 500円 |
ネギラーメン | 600円 |
チャーシューメン | 700円 |
ネギチャーシューメン | 800円 |
ワンタン | 500円 |
ワンタンメン | 700円 |
みそラーメン | 600円 |
ネギみそラーメン | 700円 |
みそチャーシュー | 750円 |
ネギみそチャーシュー | 800円 |
ニラそば | 700円 |
トッピング(もやし・ワカメ・メンマ) | 各100円 |
ギョーザ | 400円 |
半ライス | 100円 |
※細麺・太麺あり、中盛・大盛ともに100円増し
店内には、「球場ラーメン」についての新聞の切り抜きが貼ってあった。そこで、それを糸口に店主の金子雅幸さんにいろいろ話をうかがう。それによると、現在の「球場ラーメン」は金子さんで3代目で、13年前からやっているとのこと。
そしてこの場所でのラーメンの営業は3年前からだが、氷屋のほうは30年前からやっていて、かつては村田兆治のヒジを冷すための氷も扱っていたそうだ。また、店主は高沢(現コーチ)や金田監督(当時)と親しく、高沢はよく家まで送っていったこともあったそうだ。
ちなみに球場で営業時の金子商店の取り分はラーメン550円のうち370円なので、あまり儲からないらしい(以前の取り分はもっと少なく260円だったそうだ)。だから麺は少なめにしているとのこと。また細麺を使用しているのは、ゆで時間が短いので、客を待たせずにすむため。なんせ多い時には1日で4000食出たというから。
なお、「ゆで卵の謎」について聞いてみたら、「基本的にゆで卵入りにしている」そうで、「べつに、人を見て入れているわけではないよ(笑)」とのこと。ゆで卵を入れる理由は、「だって、量が多いほうがうれしいでしょ」。ただしイベントによっては、オプションにすることもあるそうだ(だから「フリーマーケット」は別料金だったのだね)。また、ゆで卵が無くなったらオシマイ(だから「オリオンズイベント」の時は、遅い時間に食べた人には、ゆで卵が入ってなかったのだね)。
そして面白いのは、野球の時はラーメンが売れて、アメフトの時はうどんがよく売れたということ。ちなみにうどん屋と例の「広島風お好み焼屋」は兄弟だそうだ。なお、お好み焼屋は林二三夫さんという人がやっていて、普段は焼鳥屋をやっていたが、お店が立ち退きにあってしまい、現在はたまに球場で営業をする以外は何もやっていないそうだ。
店主の金子雅幸さん(53才)
店主は、さかんに「わざわざ食べに来てくれて嬉しいねぇ」と言ってくれた。そして筆者が、今度のオープン戦にも行くと言ったら、その時には「チャーシューをサービスするよ」とも言ってくれた(笑)。
ちなみに金子商店の営業時間は、午前11時半〜午後3時。場所は、新川通りの「浜町三丁目」バス停のすぐそばで、住所は川崎区浜町1−11−3。
バスで行くには、川崎駅から市バス「川13系統・扇町行」または「小田栄循環」か、臨港バス「川22系統・三井埠頭行」に乗り約10分(200円)。4月からは「川崎球場のラーメン」と謳うらしいので、是非みなさんも一度お越しを。
★★★
第4部・「川崎劇場ファイナルシーン メモリアル・ゲーム 横浜−千葉ロッテ」にて
につづく