3月27日 ロッテ−日本ハム
(千葉マリンスタジアム)

(ふさ千明)

マリンスタジアム開幕戦

引っ越し直前だというのに、私はマリンスタジアムを目指していた。今年のマリン開幕戦は、21世紀のマリン開幕でもある。20世紀最後の試合を見た身としてはおさえておきたかった。

余談だが、97〜98年マリーンズにはキャリオンという選手がいた。そして数年前「新世紀エヴァンゲリオン」という作品があり、それに掛けた言葉として「新世紀4番キャリオン」というネタが週刊ベースボールの投稿コーナーに掲載されていて、「あのキャリオンが大当たりだったら本当に新世紀の4番を務めたかも知れないのにな」と、ふと思った。ぼーっとしているときの頭というのは、私の場合概してこういう働きをする。

途中、海浜幕張駅前のプレナ幕張内のディスカウントショップで飲み物を買ってから行ったが、ここのお店は店員さんがマリーンズのユニフォームに帽子という格好で「試合のある日はこれで行きます」とのことだったので、隠れた新名所になるかも知れない。

のんびり歩いて、開門時間に合わせてスタジアムに到着した。ナイターでこんなに早く来たことはない。 さて。何でこんなに早く来ているのかと言えば。 目当てである「新・石井浩雄弁当」及び「ジョニー黒木弁当2001」を確実に買いたいがためだった。 しかし。 それがいかに悠長な考えであったか。 私は到着してから知ることになった。

およそこれまでマリンスタジアムで見たこともないような長蛇の列。まさに長蛇と言うにふさわしく、球場を取り囲んで延々と伸びている。何があったか知らないが、見たこともないような人、人、人。始球式にジャニーズタレントでも呼んだのかと思ったが、みんながみんなカモメの窓口に並んでいるのだから、そういうわけでもないようだ。

「なんじゃこりゃあ」  とにかく並ぶしかない。4/1には関西に旅立つ身としてはファンクラブ招待券を使っておきたかった。 来場ポイントやバッヂも欲しかったし。

列の前後にいる人間と暇つぶしで今季の展望などを話してみたりしながら1時間弱。ようやくチケットを入手。バッヂは山本監督の86だった。

食堂「マリンのそよ風」にも行きたかったが弁当優先で見逃す。案の定、こっちでも長蛇の列。みると売場をテレビカメラが映している。どこまで行くんだこの騒動は。

こっちでは40分程度並んで、ジョニ黒弁当は完売してしまったが石井浩雄弁当は無事入手。値段は1000円。 包装紙が去年の「男・石井浩雄弁当」から「武士(もののふ)石井浩雄弁当」になっていた。どんどんキャラができあがっていくなぁ、と言う感慨もそこそこに席を確保に向かう。何しろあの人出だ、今日は大変だぞ、と危機感抱えていつもの37番階段(通称本西ゲート)を駆け上がると‥‥‥。

あれ?目の前のレフトスタンドはガラガラ。まぁ、レフトスタンドだしなぁ、と思って目をやると、ライトスタンドは立錐の余地もない。そして肝心の内野2階席は‥‥。いつもと同じ。こんなもんか。要はここにいる人間がみんな割引かタダ券で入っていると言うことか。

横に荷物が置けるゆったり感覚で着席。早速弁当とお茶を広げることにして。ふたを開けると武士(もののふ)バージョンでの変化に気が付く。おこわの上に鶏肉が乗り、高野豆腐や焼きうどんなどが新メニューとして加わっている。 全体として、和風テイストあふれる相変わらずの大和魂っぷり。味・量共に値段相応の内容である。 某屋根付き球場で弁当にさんざん泣かされた経験を持つ私としては文句の一つもない。 後は本人の復帰を待つばかりか。

食べ終わってグラウンドを見ると、本拠地開幕戦ということで色々とセレモニーがある。千葉市美浜区打瀬小学校(球場から至近)4年生の子供たちが、ロッテ千葉移転10周年記念旗を手に手に入ってくる。 彼らは“千葉ロッテマリーンズ”と同じ歳の子供たちというわけだ。

そして、先日当選したばかりの堂本新千葉県知事が観戦にやってきているとの紹介があった。見るとグラウンドから手を振っている女性がいる。これがパフォーマンスに終わらず、実体のある応援となるならいいのだが。

始球式はミス日本の野手るり子女史と松井千葉市長の2人によるものだった。どちらかがキャッチャーに回ったわけではなく、2人ともマウンドからボールを投げた。

長い前振りの後、ようやく試合。 先発はF立石・M小野。私が個人的に名勝負として挙げている2000年5月21日、東京ドームにて9回を0−0で投げ合った2人の投げ合いである。今日、ここでその時の決着がつくわけだ。実は2000年7月30日、円山球場で既に決着はついていると言う説もあるが、この際敢えて無いことにする。

そしてもう一つ。昨年の6勝20敗1分というマリーンズの対ファイターズコンプレックスが払拭できるか。 逆に言えばファイターズにとって20勝6敗1分という美味しい貯金相手は、今年も健在なのか。 大事な第一戦である。

ファイターズは片岡を欠いており、サードには田中賢介が入っている。しかしマリーンズも石井を欠いている。 昨年までのパターンにはまってしまえば予測するまでもないことだが‥‥。どう出るか。

1回表、小野の立ち上がり。 1番中村豊、2番田中賢介の“鎌ヶ谷組”を打ち取って2死。 3番小笠原、レフトへフライを打ち上げる。レフト佐藤、慣れないのか緊張のためか目測を誤りレフト前ツーベースにしてしまう。去年のパターンだと守備の乱れやフォアボールからピンチを作ってずるずるずる、だったが‥‥。 4番オバンドー空振り三振。去年とは違う!というところを見せてくれた。

1回裏、立石の立ち上がり。 ボールが先行していることしか特筆することがないくらいあっさり三者凡退に切って取る。この試合も、投げ合いの予感。

2回表。5番島田、6番ウィルソンと打ち取り2死後、7番田中幸雄にあわやスタンド入りのセンターオーバーツーベースを食らう。野口センターフライで事なきを得る。

2回裏、初芝が歩いてランナーに出るも、福浦がゲッツーで結局3人で終わる。3回表は三者凡退。

そして3回裏。2死からサブローがストレートのフォアボールで出塁。小坂、2−3からの7球目、振り切ったスイングからセカンド金子の横を抜くクリーンヒット。右中間をざっくりと破り、フルカウントのためスタートを切っていたサブローは打球が外野にさしかかったとき既にセカンドを回っていた。俊足の走者2人はわき目もふらずに先の塁を目指す。サブローホームインで1点先制。小坂も3塁到達。 諸積フォアボールで2死1,3塁。なおもチャンスにメイがサードゴロでチェンジ。

4回表。小笠原ファーストファールフライで1死。オバンドーの打球は二遊間、小坂走って走って飛びついて‥‥捕れない。センター前ヒット。1死1塁。島田、初球を打ってライト前へ。1死1,2塁。ウィルソン粘ってライト前へ。オバンドー怪我の影響かホームに到達できず、3塁ストップ。1死満塁。

カウント1−3、ボールなら押し出し。打球はサードへ。狙ったのか? と思うほどに一番打って欲しくない方向へ(失礼)。しかし。初芝機敏な動作で打球を掴むとセカンド送球。サブローがファーストへ送って5−4−3成立。ダブルプレイ。思わず初芝コールの大合唱。照れたように帽子をかぶり直す仕草が「俺だってアレくらい」と語っているように見えた。 ‥‥‥でも満塁なんだから普通はホームに投げないかな?まぁ、結果オーライ。

4回裏。オバンドーが引っ込み、西浦が入った。やはり怪我の具合が思わしくなかったようだ。 この回は先ほどの殊勲者初芝。その空振り三振を見て「ああ、これこれ」とか失礼なことを思ったりしていると。次打者ボーリックのフルスイングで。打球が、あがった。そして伸びた。見事レフトスタンドに運ばれ、今季1号ソロアーチ。2−0。

福浦の打球もセンターバックスクリーンめがけて飛んでいく。飛んでいき、飛んでいき、そして失速。センターフライでツーアウト。佐藤空振り三振でチェンジ。 ここから試合は硬直する。特にマリーンズは完全に音無し。 淡々と、もしくはねばり強い投げ合いが続く。

そして6回表終了時、明日の予告先発が発表になる。 マリーンズ加藤。あの加藤。ルーキーのくせにマウンド度胸満点、背番号28が前の前に付けてた人と同じくらいよく似合うあの加藤。ライトスタンドから歓声が上がる。ここで「ああ、もうルーキーに頼んなきゃいけないくらい先発いないのか」と思うようなマイナス思考の持ち主はいなかったらしい。

ああ、明日も見に来たいと思ったが引っ越しを間近に控えた私にそんなことが許させるはずもなく。というかこの日の観戦自体もあまり許されていないような気がしているし。

一方のファイターズ予告先発は関根。開幕直前に腕をぽっきりやっているという情報があったのだが、やはりマリーンズキラーとして出てきたようだ。それともぽっきりやってても抑えられるということだろうか。そこまで思考は飛ぶ。

なぜなら、そもそも私はマリーンズが関根に勝った記憶がない。無いのも道理、事実がないのだからありようもないが‥‥。少なくとも去年は関根の対M戦績は5勝0敗。一昨年松本で1回だけ勝っているが‥‥(一昨年5勝1敗)。2年で10勝1敗というのはもう相性云々を飛び越えている。 悲鳴があがらなかっただけ良しとしたいところだ。

ファイターズ讃歌が流れ、ファイターズのラッキーセブン。 7回表。この回先頭のウィルソン歩いて田中幸雄空振り三振、野口は初球を打ってセカンドフライ。打順は9番金子に巡る。ああ、大丈夫大丈夫‥‥‥うわっ。悲鳴が、あがった。どこからともなく聞こえてきた。

打球が、レフトスタンドへ‥‥‥‥ 伏兵金子、試合を振り出しに戻す一撃必殺の同点ツーラン。 まさにラッキーセブン、というと金子選手のファンに怒られそうだが。 中村豊倒れて同点止まりも、当たりが全く出なくなったマリーンズには、既に重い。

Take me out to the ballgameの演奏後、カラフルな風船が飛ぶ。マリーンズの、ラッキーセブン。 先頭バッターはボーリック。 フルカウントからの7球目、4回裏の打席を思わせるフルスイング!  夢よもう一度、決勝弾となれ‥‥そんな期待を背負った打球は中村豊のグラブに収まった。 結局三者凡退。

8回表。レフトの佐藤が引っ込み本西が入った。 田中賢介がサードに打ち上げた。ファールフライ。大丈夫か、大丈夫か、大丈夫か‥‥大丈夫! 初芝捕球してワンナウト。ここまでスリリングなファールフライが楽しめるのもこの球場(それも表の攻撃時)くらいだろう。あとはさしたる波乱もなく、島田のショートゴロを捌いた小坂の動きが楽しめたくらいか。

8回裏、サードに奈良原が入る。奈良原の本領はショートにあると思って止まない私なのでちょっと残念。 何が残念かというと、サードは守備領域がさほど広くないため、さほど面白くないのだ。 このあと清水将海・サブローと2人もショートへ打ったのでなお残念。 この回は三者凡退。しかも6球で片づけられる淡泊ぶり。この辺だけは何とかして欲しいと思うのだが‥‥。

9回表。 ウィルソン・田中幸雄と倒れて2死。しのいでくれ、という願いむなしく野口レフト線へツーベース。次打者金子の2球目にワイルドピッチで野口3塁へ。金子には先ほどの記憶からかストレートのフォアボール。2死1,3塁。脳味噌をよぎる過去の記憶。

中村豊、カウント2−3からの6球目を叩いて殊勲甲のセンター前ヒット。ついにファイターズリード!ここでマリーンズは小野をあきらめ吉田投入。 奈良原サードゴロでチェンジも、重い重い1点。

9回裏。「ミラクル・マリーンズ」コールが鳴り響く。立石に代わってミラバルがマウンドへ。 諸積ライトフライ。メイ、フルカウントまで持ち込みながら空振り三振。初芝0−2のバッティングカウントから打って出てショートゴロ。 ゲームセット。

あの「5/12」に決着がついた。勝利投手立石、1勝0敗。セーブミラバル、1S。敗戦投手小野、0勝1敗。 小野の8回2/3投げての3失点は責めようがない。立石の前にヒット2本しか出なかった打線にこそ責があるだろう。

しかし、立石を打てない。これが他球団にも通用するエース級相手なら話も分かるが‥‥。松坂は打てても立石は打てない。立石がマリーンズには自信を持ち、他球団相手ではしばしば見られるフォアボールの連発がないのが、攻略を難しくしているようにも思われる。

でも、試合自体はいい試合だった。投手戦の醍醐味があった。これだから、野球観戦はやめられない。

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日本ハム  
ロッテ ×  

 

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