99年2月28日 練習試合 サンバンウル−LG
(那覇・奥武山球場)

(東京都・むさし)

このゲームを観戦したのはまったくの偶然だった。北谷、宜野湾とキャンプめぐりをして那覇に戻った私は、奥武山球場に行ってみた。この球場は75年に、今のところ沖縄での最後のプロ野球公式戦が行われた球場なので見ておきたかったのだ。

ブラブラと球場の周りを歩く。するとスコアボードの上に、なんか球団旗のようなものがはためいていた。よく見るとそれは韓国プロ野球チームのサンバンウル・レイダースのものであった。

韓国のプロ野球事情に疎い私は、この球場でサンバンウルのキャンプが行われていることは全然知らなかったのである。

そして球場正面に行ってみるとサンバンウルのキャンプ日程が貼ってあった。それを見ると2日後の日曜日にサンバンウルと、同じく沖縄でキャンプ中のLGツインズの試合が組まれていることを知った。

当初、日曜日には北谷か浦添でオープン戦を見ようと思っていたのだが、予定を変更してこのゲームを観ることにした。ちなみにその日程表には沖縄電力、横浜・二軍、日本ハム・二軍とも練習試合が組まれていることも書かれていた。

さてゲーム当日、国際ショッピングセンター内のハンバーガーショップ「A&W」で朝食を摂る。たまたま店内で隣のテーブルに座った男性2人連れはベイスターズファンらしく、年間観戦計画を立てているようだった。また、国際通りではベイスターズの紙袋を持った女の子も見かけた。おそらくこの時期の沖縄は、野球ファンの比率が最も高くなる季節なのであろう。

そしてとりあえず11時頃、奥武山球場に行ってみた。係員らしき人の姿は見えず、日程表にも試合開始時刻が書いてなかったので、球場正面にある仮設選手食堂のようなところに入り、そこに居たオネエチャンに開始時刻を聞いてみた。すると1時開始とのこと。そこで一旦球場を後にして市街地へ昼食を食べに行った。ちなみにその選手食堂にはキムチの匂いがただよっていた。

12時半頃再び球場に戻る。入場は無料。中に入るとサンバンウルの守備練習が行なわれていて、場内にはBGMとして韓国の流行歌らしきものが流れていた。その中の1曲に「クリスマス、クリスマス、クリスマス〜♪」と連呼する歌があり、妙に耳にこびりついてしまった。

定刻1時に試合開始。今まで日韓親善野球は観たことがあるが、韓国チーム同士の試合は始めて。まさか日本国内で観ることがあろうとは思っていなかった。

ちなみにサンバンウルのユニフォームは黒と黄と基調としたもので、昔の阪神タイガース、というより「サントリー・モルツ」のようであった。一方LGは黒と赤を基調としており、近鉄バファローズのビジター用(黒)に似ていた。

サンバンウルの先発投手は背番号30のアンダースロー。1回表LGのトップバッターは背番号45の中南米系の左打者。以前、韓国プロ野球は「純血主義」だったはずだが、最近は外国人選手もいるようだ。

場内アナウンスもなく(あっても韓国語だったらわからないが)、背中のハングル文字も読めないし、スコアボードの表示もないため選手名は一切不明。したがって以下すべて背番号で書いていく。

背番号45はいきなり二塁打を放つ。そして2死後、4番・背番号42のこれも中南米系の左打者(のちにスイッチヒッターと判明)がタイムリーヒットを打って1点を先制した。

しかしその裏、サンバンウルは3番・背番号36の右打者がLGの先発・背番号52の右投手からレフトスタンドへ逆転2ランを放った。背番号36はその後の打席でも何本かヒットを飛ばし、この日印象に残った選手である。

4回表、サンバンウルは背番号38の左のサイドスローに交代した。この投手は、かつてヤクルトにいた安田にそっくりな投げ方で、LGの打者はタイミングがとりにくいらしくバットがくるくると回った。

さて、スタンドにはどのような人々が居るのかというと、予想に反して韓国人と思われる人はほとんど居なかった。一塁側スタンドにサンバンウルの旗を持った集団が居たので、てっきり韓国から来たファンだろうと思っていたが、近くに行ってみると日本語をしゃべっていたので、たぶん宿舎の従業員あたりなのであろう。それと何故かサンバンウルのスタジャンを着た子供たちの姿もあったが、これも日本人であった。

試合は7回表を終わったところで、7−2とLGが大きくリードをした。しかし7回裏サンバンウルは2点を返し、さらに8回にはこの回から代わったLGの背番号55・右投手に襲いかかり、1死2塁から3番打者から6番打者まで4連打を浴びせ、9−7と逆転をした。

そして9回表1死1塁の場面で登板したサンバンウルの背番号1・右投手が1球で併殺打にしとめ、これで試合終了。

・・・と思ったら、LGのナインが守備についた。本来ならもう勝負はついているはずだが、練習試合のため9回裏までやるようだ。しかし9回が終わってもまだゲームは続いた。一体何回までやるのだろうか。

11回裏サンバンウルはまたもや3番打者から4連打を集め4点を追加。結局試合は12回まで行なわれて14−9でサンバンウルの勝利に終わった。試合時間3時間45分。終了時の観客は20人くらいだった。

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