静岡草薙球場

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1999年11月14日、午前4時半に起床する。空はまだ真っ暗だ。静岡に行くのに当初、東京駅からJRに乗ろうと思っていたが、小田原まで小田急を使った方が運賃が安いことがわかり、下北沢から6時8分発の急行に乗る。車内は早朝ながら客が多く、渋沢でやっと座ることが出来た。

そして小田原に7時半頃到着。JR東海道線に乗り換え、途中熱海で乗り継ぎをして9時13分草薙着。

本日は草薙球場で「パリーグ東西対抗」が行なわれる。静岡でのパ東西対抗は今年で11年目を迎え、例年多くの観客を集めている。

草薙駅では、野球を観に行くと思われる人たちが多く、駅員に「草薙球場は駅から遠いですか?」と聞いている人もいた。するとここでダラ球会のたけがわさんから電話。すでに草薙球場に居るらしい。

JR草薙駅から歩いて2分くらいで静岡鉄道の草薙駅に着く。以前草薙球場に行った時は、清水駅か静岡駅で静岡鉄道に乗り換えたのだが、この草薙駅で乗り換えるのが一番便利だという情報を得たので、今回はそうした。確かに近い。

そして2駅、約2分程で県総合運動場駅で降りる。運賃は120円。駅から球場までは、200メートル程の距離。球場へ向かって歩いていると、「ロッテマリーンズ静岡」という静岡県のロッテファンクラブが会員募集のチラシを配っていた。静岡というと、ベイスターズなら例年公式戦を開催しているが、ロッテ戦が開催されることはほとんどないので、ファンクラブが存在するのは意外であった。

球場に行く前に近くのコンビニ「モンマート」でサンドイッチとおにぎりを買う。そして球場正面にある「ベーブルース像」の前でたけがわさんと合流する。

入場料はS席4300円、A席3600円、内野自由席2600円、内野自由小人1300円、外野1600円、外野小人600円。内野自由席にしようかA席にしようか迷ったが、例年満員になることを考えてA席にした。ちなみにSS席5000円というのも有るはずだが、窓口には表示が無かった。前売の段階で売り切れたのかもしれない。

球場正面にはMVPの賞品の「ワゴンR RR(ダブルアール)」という自動車が展示されていた。地元企業のスズキ自動車製だ。

また、何故か長野県の「エコーバレースキー場」の抽選会のテントが出ていた。なんか賞品がもらえるらしいので抽選の列に加わる。前の人は2人続けてテレホンカードが当たっていた。

筆者もテレホンカードが当たるといいなあと思いながら、抽選箱の中からくじを引くと、リフト割引券が当たった。でもこんなのまず使う機会は無い。

すると、ここで突然カメラのバッテリーが切れる。あまりこのへんには商店が無いのでダメ元で先程の「モンマート」に行き、「カメラのバッテリーは無いですか?」と聞くと、「ウチには無いが、そこに電器屋があるよ」と向かいを指差した。なんだすぐ前に大きな電器屋が有るじゃぁないか。国道407号線に面して郊外型の電器屋が有ったのだ。840円(税込)でバッテリーを購入。ヨカッタヨカッタ。

試合開始まで時間がまだあるし、名古屋からダラ球会のコーチンさん達が来るまでの時間つぶしを兼ねて球場の周りをブラつく。外野席入口に売店があり、東西対抗のパンフレット(800円)を売っていたので買う。ここでは東西対抗記念のテレホンカード(1000円)というものも売っていた。

草薙球場は「静岡県草薙総合運動場」という施設内にあり、その中には硬式野球場の他に、軟式野球場、陸上競技場、体育館、庭球場、プールなどの施設がある。

とりあえず座る場所を探していると軟式野球場に小さいながらも観客席があったので入る。グラウンドではリトルリーグの「東海連盟秋季決勝大会」をやっているようであった。しかし軟式野球場で硬式野球をやっても良いのやら?

ここでコーチンさんから電話。新幹線の車内から掛けているそうだ。時間を間違えて、試合開始までに球場入りが間に合いそうにないとのこと。そこで、先に入場することにした。入場時に抽選カードと城島(ダイエー)の写真が印刷された「ご来場記念」のカードを受け取る。

さて、静岡草薙球場は1930年7月15日開設の大変古い球場である。そして1934年11月20日にはあの伝説の沢村栄治が投げ、大リーグ選抜に惜しくも1−0で敗れた試合が行なわれた球場でもある。

球場前にはそれを記念して、「甦る感動」というレリーフがあり、その両脇には沢村とベーブ・ルースの像が建てられている。なお、沢村というと「背番号14」のはずだが、ここでは「8」を着けている。これは日米野球当時は「背番号8」だったからだそうだ。

かつては日米野球が開催されるたびに草薙球場でゲームが組まれたものである。したがって筆者にとって「草薙球場」というと「日米野球」というイメージがあったが、最近では「草薙=パ東西対抗」のイメージが強くなっている。

なお、球場前には日程表が貼ってあり、「静高−静商定期戦」なんて試合も行われたようだ。そして東西対抗の翌日からは耐震工事の予定が書かれていた。今日の試合で今年の野球シーズンも終わりなのであろう。

グラウンドは両翼91m、中堅115mとかなり狭い。収容人員は27974人。照明塔は特徴のあるキャンドル型のもが6基。スコアボードは電光式でメッセージボード、風速、風向、球速表示付き。そして選手名は11人分のスペースがある。ひょっとしてサッカーに対応しているのだろうか(静岡はサッカー王国だし)。

観客席はネット裏が背もたれ付き(ここが「SS席」)、内野席は背もたれ無し、外野は芝生席。グラウンド上には、バックネット前の芝生や両翼ファールゾーンの芝生に「KUSANAGI」と書かれている。

11時になると「ファン&選手写真撮影会」というのが始まり、一塁側ファールグラウンドでは西軍のイチロー(オリックス)、中村(近鉄)、城島(ダイエー)が、三塁側では東軍の片岡(日ハム)、松坂(西武)、黒木(ロッテ)がファンと記念写真を撮っていた。また、その間にはグラウンドで選手による少年野球教室が行なわれていた。

そして11時20分すぎになるとホームラン競争が始まった。まずは東軍から。ピッチャーは清水(ロッテ)。トップバッターは、いきなり日ハム・大島新監督。レフトスタンドからは日ハム応援団により、現役時代の応援テーマが流れる。しかし結果は5スイングでノーアーチ。

お次は同じく日ハムの片岡。現役選手は10スイングまでOKで3本打つ。お次は誰か? と思ったらこれで東軍は終了。普通3人くらい出るものだろうが。

さて西軍。ピッチャーは中村(近鉄)。まずは小久保(ダイエー)が打席に入り、10スイングで6本を放つ。そして次はなんと「世界の」王。しかし全然ボールが飛ばず0本に終わる。

11時40分になると開会式。選手が地元の小学校の女の子と手をつないで入場する(これを中○投手がやったらシャレにならないなぁと思ってしまった)。そして両軍監督(東尾・仰木)に「ミス静岡」から花束贈呈。原野パ・リーグ会長が開会宣言をすると、隣の陸上競技場からド〜ンと花火が打ち上がった。

そしてサインボール投げ入れが有り(ちなみにボールは東西対抗専用球とのこと)、11時55分頃になりようやくスタメンが発表された。そして静岡知事と静岡市長による始球式の後、12時5分に試合開始。

先発は西軍・金田(オリックス)、東軍・西口(西武)。

ベースコーチには一塁・イチロー(オリックス)、三塁・松坂(西武)が立つ。試合に出ないのでせめてものファンサービスだろう。でも東軍の攻撃で西軍のイチローがコーチャーズボックスに立つのも妙であるが。

1回表東軍は、先頭打者からいきなり7連打。そして打者10人の猛攻で6点を先制する。

このあたりで名古屋の2人が到着し合流。これで「ダラ球会のミニ観戦会」といった雰囲気になった(後で聞いたら、ダラ球会からもう一人、たかぎさんもこの試合を観に来ていたらしい)。

そして東軍は3回表にも小坂(ロッテ)の3ランホームランなどで4点を奪い、早くも10−0となった。しかし東軍の絶対優勢もここまで。3回裏に登板した東軍・小宮山(ロッテ)が吉岡(近鉄)に3ランホームランを打たれるなどで一挙に5点を失った。

小宮山は、ロッテのユニフォームでの最後の登板を飾ることは出来ず。4回表には、今度は西軍・小池(近鉄)が近鉄最後のユニフォームで登場。こちらは1イニングを無難に抑えた。

このへんでちょっと場内の探索のために席を離れる。スタンド下にあるグッズ売場には、人がいっぱい群がっていた。そして女子トイレには行列が出来ていた。

売店で売っている飲食物は、幕の内弁当(700円)、フライドポテトなど。そして飲み物はビール(500ml)500円、燗板娘400円、ワンカップ300円、清涼飲料水(ペットボトル)150円など。飲み物の自販機もあり、缶120円、ペットボトル150円であった。ただし、この日の観客は満員の30000人だったため、この時点でかなり売り切れていた。

さて、席に戻るといつのまにか10−9になっていた。これは10点差逆転も有りうる展開だ。1997年8月24日の近鉄−ロッテ戦の再現か?

7回が終わったところで、抽選カードの当選者発表。日本野球機構発行の「セ・パ誕生50周年の歩み」(非売品)が景品となっていたので欲しかったがハズレた(この本はその後ベースボールマガジン社から発売された)。

試合はその後両チームとも1点ずつを加え、11−10で辛くも東軍が逃げ切った。これだけ点が入ったにもかかわらず試合時間は2時間26分だった。公式戦でもこれくらいスピーディーな展開を望みたいものだ(公式戦だと1−0のスコアでも4時間近くかかる場合がある)。

試合後には東軍・東尾監督の勝利監督インタビュー、続いてMVPに選ばれた小坂にもインタビュー。小坂は体も小さいが声も小さく、何を言っているのかよく聞こえなかった。なお、表彰式が済んで選手達がグラウンドから退場する時に、外野席のロッテ応援団が小宮山にずっと声援を送り、それに小宮山が手を振ってこたえていた。

さて、筆者を含むダラ球会の4人は、試合後に行なう恒例の懇親会をやろうと思い、球場の近くを歩いてみたが、付近には喫茶店などが全然ない(トンカツ屋しか見当たらなかった)。そこで静岡鉄道に乗り、新静岡まで行って「ロッテリア」へ入った。

そして、名古屋組は新幹線で、筆者を含む東京組は静岡17時32分発の横浜行普通列車で静岡を後にした。

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